先行研究事例からの報告
2005年に公開された特許では、
ポリヒドロキシ酪酸(PHB)によるブタへの試験結果が応用されています。
先行研究事例(1)
出願日01.09.2004
公開番号WO2005021013
公開日10.03.2005
特許番号5114631
特許付与日26.10.2012
【発明の名称】β-ヒドロキシ短~中鎖脂肪酸重合体
【0116】
軟便・下痢抑制の効果
飼育期間を通して、正常な糞をしたブタは、対照群が12頭中2頭のみであったのに対し、
試験群は12頭中8頭と下痢・軟便の抑制効果が有意に認められた(p<0.05)。
【0117】排泄物からの臭気:対照群の排泄物の方が刺激の強い臭気であった。各臭気成分の測定の結果次のように、試験群において、揮発性脂肪酸が約25%、硫化水素及び全メルカプタン類は40%以上濃度が減少し(表4)、排泄物からの臭気が軽減する傾向や有意差が認められた。
【0118】
先行研究事例(2)
潰瘍性大腸炎の実験
【実施例7】
【0129】
炎症予防作用
使用ラット:Wistar系雄性ラット8週齢
飼料:自由摂取
水:自由摂取
【0130】
飼育:市販固形飼料(ラボMRストック 日本農産工業(株)日本国:神奈川)で3日間施設馴致後試験群と対照群の2群に分け、それぞれの飼料を2週間摂取させた。
次いで、Gastroenterology,98,694-702(1990)(引用により本願に含まれる)に記載の方法に準じ、上記対照群と試験群の飼料を、それぞれの飼料からコーンスターチを617g/kgまで減量し、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を3重量%添加した大腸炎誘発飼料に交換してさらに飼育を続けた。
【0131】
初めて血便が認められた日を記録し、その翌日に固体毎に剖検を行った。血便が観察されなかった固体は14日目までDSS添加飼料を摂取させ15日目に解剖して各臓器の重さを測定すると共に各臓器を肉眼で観察した。また、大腸の組織切片を作製し、光学顕微鏡にて大腸組織を観察した。大腸の炎症の病理組織学的検査としては4段階評価(0:正常、1:点在、2:広範囲、3:全体的)、出血の状況は3段階評価(0:正常、1:局所的、2:全体的)を行った。
【0132】
DSS投与前の飼料摂取量や増体重に試験群と対照群の間に有意差はなかった。またDSS投与中、対照群が生存した期間中の飼料摂取量や増体重において有意差はなかった。表9に結果をまとめた。DSS含有飼料へ交換した後、対照群では5日目から7日目までに全8頭に血便が始まった。試験群は1頭が7日目から始まったが、試験終了の14日目でも7頭中4頭には観察されなかった。このように血便に関しては7日目以降で有意差が現れた。炎症に関しては、DSS投与でもっとも強く炎症が生じる大腸下部(直腸部)において、有意にびらん(糜爛)および出血の抑制が観察され、予防効果が確認された。