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PHBの直近のトピックス/論文から
海外から
海外からの報告
<2022年4月>イタリア/ボローニャ大学における試験結果。
大腸がんを誘発したラットを28日間飼育し、PHB10%または20%を混餌で与えるとポリープの数とガンの面積は有意に減少した。
文献:Fernández J, Saettone P, Franchini MC, Villar CJ, Lombó F. Antitumor bioactivity and gut microbiota modulation of polyhydroxybutyrate (PHB) in a rat animal model for colorectal cancer. Int J Biol Macromol. 2022 Apr 1;203:638-649. doi: 10.1016/j.ijbiomac.2022.01.112. Epub 2022 Jan 25. PMID: 35090944.
PHBは酪酸菌を増殖させ酪酸を持続的に放出させることによって、大腸がんを抑制する助け(抗がん剤のアジュバント)になれる可能性をうかがわせるデータかと思われます。
<2022年12月>中国農業大学における試験結果。
仔豚の離乳直後から14日間飼育の間0.5%のPHBを混餌で与え、離乳期下痢症への保護効果を観察。写真は大腸上皮の多糖類を染色したもの。ブタは離乳期に下痢傾向に陥り大腸粘膜の多糖類が減少するが、PHBはこの減少を抑制した。
文献:Ma, N., Guo, P., Chen, J. et al. Poly-β-hydroxybutyrate alleviated diarrhea and colitis via Lactobacillus johnsonii biofilm-mediated maturation of sulfomucin. Sci. China Life Sci. (2022). https://doi.org/10.1007/s11427-022-2213-6
PHBは養豚業の最大の課題である離乳期下痢症を解決できる可能性をうかがわせるデータかと思われます。
国内から
国内からの報告
<2022年12月>東京工科大学と麻布大学の共同研究における試験結果。
マウスに2%のPHBを混餌で与え、潰瘍性大腸炎への保護効果を観察した。
DSSにより潰瘍性大腸炎になったマウスにPHBの混餌の供与を4日間持続した。DSSにより大腸上皮は強く変性したが、PHBが共存すると変性が抑制された。
文献:Suzuki R, Mishima M, Nagane M, Mizugaki H, Suzuki T, Komuro M, Shimizu T, Fukuyama T, Takeda S, Ogata M, Miyamoto T, Aihara N, Kamiie J, Kamisuki S, Yokaryo H, Yamashita T, Satoh T. The novel sustained 3-hydroxybutyrate donor poly-D-3-hydroxybutyric acid prevents inflammatory bowel disease through upregulation of regulatory T-cells. FASEB J. 2023 Jan;37(1):e22708.
PHBには潰瘍性大腸炎への抑制効果がある可能性をうかがわせるデータかと思われます。
<2020年 5月>理化学研究所の研究グループは、ヒトの腸内細菌を試験管内で培養する方法を開発し、ケトン体の腸内細菌に対する影響を観察。
その結果、ケトン体によって酪酸濃度が有意に増加することを発見した。ケトン体は腸内細菌に取り込まれて、酪酸の生産のためのエネルギー基質になったものと思われる。
Sasaki K, Sasaki D, Hannya A, Tsubota J, Kondo A. In vitro human colonic microbiota utilises D-β-hydroxybutyrate to increase butyrogenesis. Sci Rep. 2020 May 22;10(1):8516. doi: 10.1038/s41598-020-65561-5. PMID: 32444846; PMCID: PMC7244492.
ケトン体の重合体であるPHBは大腸内でケトン体を生産する能力があるので、PHBも酪酸菌を増殖させ酪酸濃度を増加させる根拠のひとつになるかと思われます。
〈2023年7月〉東京工科大学と麻布大学の共同研究における試験結果。PHB2%混餌を供与した肥満のマウスモデルにおいて腸内細菌の菌叢解析をしたところ、酪酸菌であるロゼブリア属と共に、アッカーマンシア属が有意に増加していることがわかった。
PHBはケトン体を徐々に放出するため、ケトン体を持続的に増加させることができる。また、ケトン体は細胞膜上の特異的なタンパク質と結合して血中の中性脂肪などを低下させることが報告されている。これらを踏まえPHBが肥満を抑制する可能性について肥満のマウスモデルによる検証が行われた。
PHB2%混餌を供与した肥満のマウスモデルにおいて、血糖値を抑制しなかったのに対して中性脂肪を有意に減少させた。
一方コントロールマウスでは、PHBは血糖値も中性脂肪も減少させなかった。
Mishima M, Takeda S, Nagane M, Suzuki T, Ogata M, Shima A, Aihara N, Kamiie J, Suzuki R, Mizugaki H, Okamatsu-Ogura Y, Satoh T, Yamashita T. Prebiotic effect of poly-D-3-hydroxybutyrate prevents dyslipidemia in obese mice. FASEB J. 2023 Sep;37(9):e23121. doi: 10.1096/fj.202301191R. PMID: 37548278.
アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)のイメー画像。大腸粘膜に定着するため の酵素や繊毛を多く持ち大腸粘膜内で生活できるとされる。粘膜層に定着する腸内細菌であり酪酸菌や乳酸菌とともに善玉菌のひとつとされている。肥満ではない人に多く肥満の人に少ないことから【やせ菌】の実体である可能性も指摘されている。このためアッカーマンシア属は、次世代プロバイオティクスの有望な候補の一つとされる。
これまでアッカーマンシア属を増やす天然分子はあまり知られていませんでしたが、PHBは、アッカーマンシア属を大腸内で増殖させるプレバイオティクスとして期待できるのかもしれ知れません。
独自試験から
<2020年6~8月>にかけて弊社独自で(動物試験専門会社へ依頼して)行った試験の結果。
マイクロミニブタにPHBの混餌を供与すると酪酸などの短鎖脂肪酸が有意に増加することを証明した。
動物モデルとして生後90日齢のマイクロミニブタに2%のPHBを40日間混餌で与え、糞便中の酢酸、プロピオン酸、酪酸及び乳酸の濃度を液体クロマトグラフィーを用いて測定したところ、酢酸、プロピオン酸及び酪酸の濃度が有意に増加した。またpHは有意に低下した。
弊社の試験から
PHBは酪酸菌が優位な腸内環境を誘導することから健康効果が始まります。この試験でそれを証明しました。ここからケトバイオティクスとしての活動を公式に始めることになります。
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