『ローズマリー由来カルノシン酸には新型コロナの後遺症を軽減する可能性』がある
Carnosic acid from rosemary may reduce the brain aftereffects by COVID-19.
~ローズマリーと新型コロナ後遺症~
Long-COVID/新型コロナ後遺症について。
最近新型コロナの後遺症(Long Covid-19)が問題になっています。新型コロナ後遺症では、うつ症状・不安・意欲低下・ブレインフォグ(集中力や思考力の低下)など脳に由来する症状が大部分で、このような症状が2カ月以上継続することを言います。
BA5型では軽症でも新型コロナ後遺症になるケースが多く、これに対する有効な方法が期待されています。
すでにウイルスは体から排除されているのに脳のほんの一部で慢性の炎症が起こっている、こういう状態なのです。ウイルスは消えているので抗ウイルス薬では効果がありません。脳の慢性炎症を抑制する成分が必要です。
ミクログリアの役割
脳の慢性炎症はどのようにして起こるのか?これに関しては多くの研究から多くのことがわかっています。理解するためには、まずニューロンとミクログリアという細胞を取り挙げる必要があります。ニューロンは神経ネットワークを形成する細胞で電気情報のやり取りを行います。いわゆる神経機能のほとんどはこのニューロンに由来します。
ミクログリアは通常何をしているのか今でもきちんと解明されていない細胞です。しかし、わかっていることの一つは、『脳に異物がはいったときに脳内で炎症応答を引き起こす』という事です。
新型コロナによって上部気道で感染が起こっている、これが軽症の状態ですが、その際上部気道からウイルスが脳内に入りミクログリアが活性化されると炎症が起こります。後遺症では、たとえウイルスが消えてもミクログリアとニューロンの間で炎症が長期間続くのだと考えられます。
Durin the long-COVID, the viruses enter the brain through upper airway and activate microglia. Even after the viruses disappear, the long-lasting inflammatory actions are activated between microglia and neurons.
さて、脳で起こる炎症は他の組織とはすこし異なる性質があります。
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原因(炎症の引き金)がなくなってもミクログリアとニューロンとの間で持続的な炎症が続くことがよくある(例:Long-COVID)
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ミクログリアのNOXと言われるたんぱく質が生産し続ける活性酸素(ROS)がこの持続的な炎症を続けさせる最も大きな力になる。
このことを新型コロナの後遺症のメカニズムに置き換えると、
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ミクログリアの活性化を抑制すること
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ミクログリアからの活性酸素やサイトカインを抑制すること
で、新型コロナ後遺症を軽減できる可能性が見えてきます。
カルノシン酸の機能
そこでカルノシン酸には以下の二つの性質があります。
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脳内に移行できる。
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ミクログリアの炎症反応を抑制する。(Nrf2を活性化する。)
この性質によってカルノシン酸は、新型コロナ後遺症/Long-COVID(ブレインフォグなど)を抑制できる可能性があるのです。
別の回でカルノシン酸はマスター調節因子Nrf2を活性化できるといいましたが、このNrf2は大変なすぐれもので活性酸素を除去できるのですが、さらに炎症反応(サイトカイン)を転写の部分で抑制できます。カルノシン酸は数%の割合で脳内に移行し、ミクログリアのマスター調節因子Nrf2を活性化しその慢性炎症を止めることができるのです。
このようなメカニズムでローズマリー由来カルノシン酸が『Long-COVIDを抑制する可能性』が論文でも提唱されています。